プロのクリエイターを目指す方で、これから大学進学を視野に入れている方はこんなことで悩むことがあるのではないでしょうか?
ふと、こんな悩みが多いというのを目にしたのでTwitterでアンケートを取らせて頂いたことがあります。
【現在プロのクリエイターとして暮らしている方へ】
現在クリエイターとして暮らせてる人って、
美術系の大学を出ている方と出ていない方の割合ってどのくらいなんでしょう?ちなみに僕は美大出身でして、大学ではほぼ独学で、プロとして役立つ力は実践で身についていった感じです?#拡散希望
— InovativeWorks@自営クリエイター向け資産構築のススメ (@Inoshita0427) July 29, 2019
結果として、130名の方に投票して頂けたのですが、ツイートの通りこのような結果でした。
・美大出身(専門含む)・・・11%(14人)※僕を入れると15人
・美大以外の大学(クリエイティブと関係ない学部)・・・30%(39人)
・美大以外の大学(クリエイティブ系の学部)・・・20%(26人)
・大卒未満・・・39%(51人)
この結果と僕の経験を交えて、プロのクリエイターになるには美大(美術系の大学)を出る必要があるのか考察したいと思います。
必ずしも美大を出なくても大丈夫
プロのクリエイターとは?
そもそも、プロのクリエイターの定義ですが以下の2通りかなと考えています。
・会社員としてクリエイター業で食っている人
・個人事業主(フリーランス)など経営者としてクリエイター業で食っている人
要はクリエイティブでお金を稼いで暮らしている人ですね。
美大関連のアンケートの数字
美大や美大以外のクリエイティブ関連学部出身者は31%
投票を全員プロの方が投票してくれた前提でお話しますが、アンケート結果を見ると美大やクリエイティブに関する学部を出た人は130人中31%の40人でした。
4年制の美大(東京工芸大学)を出た僕も入れると41人ですね。
・美大出身(専門含む)・・・11%(14人)※僕を入れると15人
・美大以外の大学(クリエイティブ系の学部)・・・20%(26人)
以下の記事ではクリエイターなる上で大学へ行くことのメリットデメリットを書いていますが、
その中でも書いている「大学のつながりで仕事をもらうケース」はそんなに多くないか、重要ではない要素であるとアンケート結果から考えられます。
大卒未満、美大以外でクリエイティブ関連でもない学部出身者が69%
そもそも、大卒未満だったり美大以外でかつクリエイティブ関連ではない学部の出身者が69%の90人という結果でした。
・美大以外の大学(クリエイティブと関係ない学部)・・・30%(39人)
・大卒未満・・・39%(51人)
大卒未満ながら就職、もしくはフリーランスクリエイターとして食っていけてる人のほうが多くいるということですね。
これはアンケートの失策だったんですが、大卒未満だと幅が広すぎました(;^_^A
「美大に行っててまだ卒業はしてないけどプロとして稼いでいる人」も該当してしまうので美大の必要性という中で言うとちょっとブラックボックス化しちゃってますね(;^_^A
今の時代、大学生でもフリーランスとして稼ぐ人が多いというのを完全に失念していました。
ただ一つ言えるのは、在学中でも稼げるくらいの人は自身でかなりの努力や勉強をしているということが推測されるので、美大そのものの必要性という中ではやはりそこまで重要ではないのかなとも考えられます。
美大を出なくても大丈夫な環境は割と整っている
ここまでの考察から考えられるのは、やはり「独学力」や、「大学に行ってかかるはずだった数百万円のお金をどこに投じるか」の「選択力」が重要なのかなと思われます。
では、美大の必要性が薄れている原因について考えてみますと、これらの要素が大きいと思われます。
・独学の環境が整っている
・設備環境の低価格化やサブスクリプション化
・かかわりを作る上ではSNSやサロンが十分にある
・仕事を取るにもエージェントやクラウドソーシングなどの環境が整っている
独学の環境が整っている
YouTubeはもちろんのこと、Vimeoやあらゆるチュートリアルサイトやオンラインスクールが充実していて学習する上ではこれ以上なく整っているのかなと感じています。
映像クリエイターであれば、こちらでまとめている記事を網羅できればグラフィック面では技術的には戦えるものになると思います。
ということであれば、有料のオンラインサロンや、僕も教えさせて頂く側として登録しているMENTA(僕のページはこちら)などの小規模コンサルもありますし、無料のコミュニティも探せばたくさんあると思います。
その中でも映像クリエイター向けの映像クリエイターズギルドは、無料なのに日本中の様々な映像のプロたちから学生さんまでが参加してくれていて、質問できる環境も整っていますので映像にかかわる方は手前味噌ながら是非ご参加いただいた方が良いと思いますよ^^
また、学習に関しては美大に行けば体系的に教えてくれるかというと僕が経験した限りはそんなことはなく、基本は独学でした。
では、美大の良い点がどこかと言いますと、
・課題が定期的に出されるので取り組む上で技術や感性を習得せざるを得ない
・その世界で実績のある教授陣からフィードバックをもらえる、聞ける
・リアルのかかわりの中で仲間たちと競って向上することができる
などは今でも人によっては非常に大きな機会的メリットだと思います。
何にしても、いいポートフォリオがあればクリエイティブ業界は就職も独立も難しいものではないというのがいい意味で機能しているのかなと考えられますね。
設備環境の低価格化やサブスクリプション化
これまで美大などに入ると「高スペックなパソコンに制作ソフトが入っているので最高!」みたいなこともありましたし、個人的にもそう思っていましたが、今ではmouceComputerなどのカスタマイズ可能なPCショップを筆頭に、メルカリやヤフオクなどでも安くPCを取引出来てそれらもちゃんと選べばそんなに性能が悪くないものが多く出回っています。
さらに、ソフトウェアもAdobeをはじめとしてサブスクリプション化が進んでいるので最初の導入資金が低く済み勉強する上でも業務をするうえでも参入障壁が非常に下がってきているなと感じています。
かかわりを作る上でSNSやサロンが非常にたくさんある
勉強面においてコミュニティやサロンについては上述させて頂きましたが、
クリエイター仲間や困ったときに頼れるプロの知り合いを作る上でもそういったコミュニティやサロンを活かすことで解決できるようになっているなと強く感じています。
今までは美大に行くと
「同じ業種で友達ができる」
「幅広くクリエイティブなことに取り組む仲間ができる」
「大学の教授とつながっていれば仕事がもらえたり就職が有利になる」
などの要素が魅力的に映ってはいましたが、ここまで環境が整うと自分の行動次第でどうにでもできそうな気になってしまいます。
仕事を取るにもエージェントやクラウドソーシングなどの環境が整っている
例えばですが、これらのエージェントが挙げられます。
気になったものがあればプロとして活動される際に是非登録してどんな案件があるのか、実際に派遣として実績を積むなど確認の上相談されてみてください。
僕は以下の中ではレバテックフリーランスに登録していまして、在宅案件は今のところほぼ無いようなのですが、出向であればモーショングラフィックス系などの映像案件もたくさんあるとのことでしたよ。
業界大手のクリークアンドリバー社が運営するWebistではAbemaTVなんかの求人も上がっていたりするようでしたので、気になる方はチェックしてみてください。
クラウドソーシングでの受注は個人的にはオススメはしていないのですが、初期の実績を積むプラットフォームとしては一つありではある場合もあります。
主なところではこれらが挙げられます。
これらにはまずとりあえず登録して作品があればアップだけしておきましょう。
そうすれば営業的に役に立ってくれることがあります。
個人的にはそれのおかげで今の優良なクライアントとの出会いにつながりましたので無料なものは有効活用べきだと本当に思っています。
このアンケートの信頼性
ちなみに、
と思われることと思います。
統計学的にこの数字の信頼性はどのくらいなのか調べてみたところ、130票あれば10%程度の誤差にとどまるようです。
つまり、今回は美大出身者で言えば11%の結果でしたので、仮に全体に対してアンケートを取った場合でも1~21%の方が美大出身者と答える可能性があるということです。
他のものも同様ですね。
その合計がどのような形で100%に収まるかは大量のアンケート集計が必要になるようですので、あくまでも
くらいの見方にとどめておいて頂いて、あとはあなたの適性や今の環境を鑑みて進路を考えて頂けるといいのかなと思っています。
まとめ
これまでは環境が整っていなかったため、美大に行くのがクリエイターになるのが最善だと思われがちでした。
しかし、今プロとして活躍しているクリエイターですら美大やクリエイティブ関係の学部出身者は30%しかいないというアンケート結果でしたので、今後は大学で学ばずにプロになっていく人がもっと増えていくのかもしれませんね。
大学に行くと「大卒」という資格が得られますので、それをどう見るかという観点も重要になります。
軽い結果ではないからこそ、この記事をはじめとしていろいろな情報を探してみて総合的に判断されることを強くおすすめします。
ただし、実際に海外で働かれているクリエイターの方の下記ツイートがありまして、
CGを勉強する上で「学校に行く、行かない」の相談を受けるのだが、僕個人の意見として海外就職を考えている人は学校に行く事をお勧めする。
海外は日本以上に学歴社会であり最終学歴と希望職種の専門性の一致は結構大事。特に4年大学卒業資格は海外で働く為に必要なビザを申請する時の大きな力となる
— Shinya Ishii ?? CGモデラー@バンクーバー (@Shinya_3D) September 5, 2019
このように、将来海外でのクリエイターとして働く暮らしを想定されているのであれば「4年制の大学出身」という肩書はビザを取得する際に非常に重要になることがあるようですのでそこは慎重に考える必要がありそうです。
考えることがいろいろあって大変かと思いますが、この記事があなたの進路選択の一助になれば幸いです。
それでは、あなたの明るいクリエイターライフを心より応援しております。