映像制作をする際、デザインを組む上でいくつか基礎的なルール・常識のようなものが存在しています。
それを知り、意識して問題を避けることができれば上司やクライアントからのリテイクを大幅に減らすことができます。
僕は映像クリエイターになってから8年ほどになりますが、会社員時代に上司に突っ込まれて学んだことや、フリーになってからいろいろ経験して学んだそれらの知識を講座シリーズとして発信していければと思います。
#1は「文字の可読性」です。
※下記のデザイン講座シリーズの「広告デザイン的な基礎知識」よりも、より「映像に特化した基礎知識講座シリーズ」になります。
映像制作テクニック講座#1「文字の可読性」
「文字の可読性」は新人として映像制作会社に入った人が、上司やクライアントから一番突っ込まれるポイントだと思います。
わかっているようで、意外と客観的に見ることができないポイントです。
まず、こちらをご覧ください。
背景色に文字が溶けてしまって非常に見えづらいですよね。
と思うかもしれませんが、意外とこういうことをやってしまい上司のディレクターに突っ込まれてしまうものなのです。
これを解消するために
この難読性を解消するためには、主に下記のような処理が考えられます。
1.要素の位置やサイズを変える
2.テロップ、または背景の色や輝度/コントラストを変える
3.ドロップシャドウ
4.後ろに座布団(板)を敷く
5.文字の周りにフチをつける
あなたの好みや、ディレクター、上司、クライアントの好みも鑑みて反映させると一番いいですね。
ただ、あなたも好みや理由があってそのような色味を設定した経緯もあると思いますので、できるだけ1~5の順番でシンプルさややりたいことを損なわずに可読性を上げるようにするのがいいと思います。
ドロップシャドウはモノによってはいい効果を生みますが、野暮ったく見えてしまうことがあるため、見極めが必要です。
また、座布団と文字のフチも、無駄な要素が増えることでダサくなってしまうことがありますので、全体のデザインなども踏まえて、合うようなら追加を検討できるかなという調整になることが多いです。
調整例の静止画
位置調整は今回の素材では意味がなさそうでしたので、2~5の調整を反映してみます。
2.テロップ、または背景の色や輝度/コントラストを変える
テロップの色を白くして背景素材をトーンカーブでコントラストを強めにしつつ少し暗くしたものです。
撮影素材をひとついじると他のカットも合わせて調整しなければいけなくなる場合はキツイですね。
3.ドロップシャドウ
テロップにドロップシャドウを適用したものです。文字色も変えています。
残念ながらちょっと浮いて見えますね。
4.後ろに座布団(板)を敷く
会話調の撮影素材なので、会話っぽい吹き出しの座布団を敷いてみたものです。板に合わせて文字色も変えてます。
結構いいかもしれません。
5.文字の周りにフチをつける
文字周りに気持ち程度のフチをつけたものです。文字色も変えています。
ちょっと残念な感じですかね。テロップのデザインがしっかりしてれば場合によってはありかもしれません。
今回は会話調の素材ということもあり吹き出しの座布団を敷くのが良さそうに見えましたので採用することにしました。
もし、
というときは同じフレームで今回のように複数調整をしてみて、検討をするというのも一つの手ですよ。
まとめ
商用映像において、文字情報はほとんどと言っていいほど入らないことはありません。
今回のようなテロップのほかにも、ロゴやショルダーテロップ、インタビュー映像のしゃべり手の方の名前/肩書きや字幕など挙げればきりがないです。
上の人間に、「全然読めません。」などと言われて逆上してデザイン完全無視でただ読めるだけの要素にしてしまうようなことが無いように、今回のような調整方法をぜひ検討されてみてください。
ただ、何回も「全然読めません。」なんて言われたら正直めちゃくちゃ頭に来ますよね?笑
「あんたの目がおかしいだけだろ!」なんて思うこともあるかもしれませんが、客観的な目で見てくれている意見なので、怒りは飲み込み素直に調整してみましょう。
そういう時/人には、今回のように複数調整した静止画で確認を取ってから進めるのが有効だったりしますので試してみてください。
何回もやりとりするよりはきっと早くすみますよ!
ほかにも、背景をぼかしてみたり、テロップの後ろだけ少し明度を落としてみるという調整も使える場合があったりします。
正解はありませんが、最低限映像を壊さないような中で最善の調整をできればだいぶ負けは少なくなるのでは無いでしょうか。
簡単なご紹介でしたが、あなたの映像制作ライフの一助になれたら幸いです。